リリス・マイヤ
Voice:唄音ちりん
旧暦(高度文明期)
享年:40歳
属性:水属性
出身:北地グランドシャリオット
新暦(人類滅亡後)
DAME=GEMINI/双子座の守護者
役割:C-GE:政務秘書官
機巧の権威 / 相利共生を謳う者
彼女の現在のコードネームはDAME=GEMINI。
兄機、SIR=GEMINIと対を成す『双子座』をその身に冠する人形社会の要人だ。
彼女の役割は『Lady=Roleless』と呼ばれる記憶を無くした機巧人形の世話役だ。
また、知能型アンドロイドとしてはSIR=GEMINIの上を行く性能を保有し、その知識で整備部門の助力にも当たっている。
ただし、戦闘は大の苦手。他の機巧人形には多かれ少なかれ、自衛の為の戦闘プログラムが搭載されており、彼女にもその基本機能は存在するはずなのだが、特定の敵生命体を前にした時のみに起こるフリーズ現象により、幾度も故障の危機に晒されている。
その為、外出時はサビクやサジタリウス(※後に紹介)が護衛に付くことが多くなっている。
そんな彼女のオリジナルの魂の名は、リリス・マイヤ。
その正体は、かつて『機巧の権威』と呼ばれた“カガリビト”の生みの親その人だ。
また、主人公イヴ・マイヤの実母でもある。
今日はそんな彼女の、数多の愛し子の記憶を失うまでの悲しい軌跡を、紹介しよう。
キャラクターボイス
『私、どこか壊れてるのかしら?』
『あら、貴方がアダム・ブレイズ?機巧の聖地へようこそ。
あぁ、着いて早々申し訳ないのだけれど、ちょっと働いてもらえる?』
『私の功罪が愛した家族を、世界を・・・壊していく・・・
嗚呼、まだ貴女にこの慟哭が届くのならば・・・
“カガリビト”を、そして“アストラル”を・・・
守ってはもらえないかしら・・・?
“篝火を継ぎし者”・・・』
STORY
▼『リリス・マイヤの軌跡』
智の都グランドシャリオット出身の彼女は、当時わずか20歳で稀代の機巧学者としてセントラルの女将軍ヌルに認められる形で、疑似精神を宿す『旧型機巧人形』を発明し、高度文明期への足がかりを築いたという。
完璧主義者で、何事においても失敗を極度に嫌う性格だった。
『ねぇ、ヌル様。物は相談なのだけれど。
アダム・ブレイズを北にいただけないかしら?』
『ほう?理由を聞かせて頂けるかな?』
『そうね、救国の英雄に、今度は救星の英雄になって頂きたいの。』
『それはまた、ずいぶんと面白そうな話じゃないか。』
旧型機巧の莫大なアストラルフレア消費による星への負担、星の滅亡の危険性をも孕む現代の機巧学の限界点を突破すべく、彼女は無理を承知でセントラルへ『協力者の出向』を要請する。
世界最高峰の魔導師を当然のように僻地へと呼び寄せる彼女の逸話は晩年まで多くの民衆に語り継がれることとなるが、結果的にアダムは彼女を愛し、彼女もまた、彼の特殊な魔導の才を高く評価し続けたという。
『貴方がアダム・ブレイズ?ようこそ、機巧の聖地へ。
あぁ、着いて早々申し訳ないのだけど、ちょっと働いてもらえる?
この子なんだけれども調子が悪いみたいで…』
『…!? えっと、貴女がリリス・マイヤ技士?
とりあえず、暖を取らせては頂けないだろうか。
寒すぎないかい?この部屋…!』
『あら、まぁ、寒いのはお嫌いかしら…?
困ったわね、熱は機巧の大敵なのだけれど。』
『勘弁してくれ、人の方が先に壊れてしまうよ…』
一般的な夫婦とは違う形であれ、「終末ノ病」が蔓延するまで彼女らは北地で幸せを築いてきた。その絆に綻びが生じたのは、この病がアストラルフレアと人間との接続を切断する不治の奇病だったからだ。
この星の人々はアストラルフレア無しでは正常な思考を保てない。
稀代の科学者とてそれは同じで、彼女の晩年の行動は実に狂気的なものであったという。
『星も救って、カガリビトも救うの。
だって彼らはもう、“心”を持っているのだから。失敗は決して許されないわ。
さあ、馬鹿なことはおしまいにしてお仕事に戻って頂戴。
返事は…、“はい”か“Yes”しか聞きたくないわ。アダム。』
『ご期待に添えなくて残念だが、答えは“NO”だ。
君とイヴより大事なものなど、私にはないよ。』
『そう…。あくまで邪魔するというのね。
じゃあ、ここで二人とも死んで頂戴。』
『やめて、ママ…』
※北地:凶行のリリス戦直前の家族のやりとり(時系列についてはノアの項目参照)※
イヴは、よく知っていた。
人々のためにと心を込めて作った機巧達がかの病を生んでしまった母の哀しみ、そして悔しさを。彼女は彼女なりに最期まで離縁した父を愛していたことを。
『呼んでくれて嬉しいわ、イヴ。いいえ、新たなエデンの守護者様。』
『セントラルへようこそ。マ…、リリス・マイヤ卿。』
『“篝火”も貴女の手に?』
『はい。パ…、アダム卿の叡智は全て私に引き継がれました。』
『まぁ、そうなの!それは素晴らしいわ!
彼には裏切られてしまったから、とても困っていたの。』
『…そう、ですか。』
『貴女は協力的で助かるわ。仲良くして頂戴ね。』
『…なぜ、泣くのですか?』
『あら…。どうしてかしら?私…私は……』
『…今日はもうお休みください。きっとお疲れなのでしょう。
お部屋を用意しています。ヌル、ご案内して。』
『そう…そうね…。そうさせて頂くわ。ありがとう、イヴ。』
※記憶の混濁が見られる末期のリリスとイヴの会話※
※リリスはイヴが娘だともう認識していない※
娘の強い想いが生んだ「双子座の守護者」の片割れからは意図的なまでにオリジナルの抱えていた負の感情が排除されている。“アダムの器”、その“妹”、それが彼女の現在で、そんな最後の創造主の苦渋の選択を誰が咎められるというのだろうか。
―『そう、それが貴女の“心”。とても、素敵でしょう?』―
彼女の出生は北国グランドシャリオットの辺境街、ポルタ・フォルトゥーナで、神官の父と、機巧師の母の元に生まれた。
共働きの両親があまり家にいないその寂しさを埋めてくれたのは、心すら持たぬ動物型の機巧人形達だったという。いつしか彼女は、そんな彼らに“心”を与えることを夢見るようになり、そして実行に移していった。自身が生んだ“人類滅亡の原因”であるカガリビトを、彼女が「どうにか生かしたい」と思ってしまったのは、彼らが彼女にとっての“愛し子”だったからで、イヴすら忘れて執着した“それ”の成れの果てに、DAME=GEMINIとしての彼女は打ち勝てない。
ずっと避けてきた彼らと対峙するその時、彼女は果たして何を想うのだろうか。
※ストーリーはキャラクター順に繋がっています。