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レヴィア・リイン(ヌル)


Voice:おかゆ


旧暦(高度文明期)

享年:約1,200歳
属性:無属性
出身:南地フォーマルハウト(神話時代)

新暦(人類滅亡後)

KEEPER=SABIK/蛇遣座の守護者
役割:観測者


梔子くちなしの継承者 / 嫉妬に狂いし白蛇びゃくだ

彼女の現在のコードネームはKEEPER=SABIK。
人形社会の要人たちには創造主より各自星座の称号とそれぞれの役割を賜っている。サビクは『蛇遣』を意味するわけだが、現在の暦に対応する星はないという。
つまりは13番目のコード、ということになるのだが、彼女が神より与えられた「役割」について他の者に語ることは少なく、彼ら人形たちが目を覚ましたその時より今まで、一貫して謎に包まれた存在のままのようだ。
常に含みのある物言いで彼女が語ったことといえば、『観測者』・・・という言葉がそれにあたるくらいだろうか・・・?
滅多なことでは働かず、謎の液体(・・・彼女曰く、『酒』というそうだ)を直接摂取する光景が頻繁に散見され、人形たちは皆一様に「自殺行為だ・・・」とその奇行に心配を募らせるのだが、これまでに一度たりとも、彼女の躯体が故障に見舞われたこともまた、ないという。
“壊れない”・・・そんな特殊な事情から彼女は戦闘に重宝されることが多いが、なぜだか人形社会の忌み子であるLADY=ROLELESSの傍からあまり離れようとせず、かの躯体の管理者でもあるSIR=GEMINIの命令でのみ、半ば渋々他部門の手助けに回ることがあるようだ。

そんな彼女のオリジナルの魂の名は、レヴィア・リイン。旧暦当時の通名は“ヌル”。
ここからは、旧暦における各自の軌跡を紹介しよう。
長い、長い、彼女たちの人類滅亡までの記憶のお話だ。


キャラクターボイス


『君、わたしと悪魔の取引をする気はないかい?』



『本当に君は、何をやらせても優秀だねぇ。
おかげで私は君を知ってからというもの、嫉妬で狂いそうだよ。』


   

STORY

◀ 初めから読む

◀ 『リリス・マイヤの軌跡』

▼『レヴィア・リインの軌跡』

彼女のオリジナルは軍事国家セントラルの始皇帝。
中央司令塔ガンエデンの最下層に眠る“生と死の花園”から「永遠」の呪いを受けた不死者である。
長い年月を生きる中でアダムと出逢い、「エデン」の力の全てを間接的に手に入れる。
以降、セントラルは周囲の四国との紛争を全て平定し、彼女は実質的には『世界を統べる皇帝』となっていたが、「終末ノ病」発生以後、「旧型カガリビト」の処遇に当たって、アダム(破壊派)を支持し、北国グランドシャリオットから保護を受けるリリス・マイヤ派閥(共栄派)と熾烈な争いを繰り広げることとなる。

“ヌル”は世を忍ぶ仮の姿で、表向きはセントラルの将軍の一人ということになっている。
レヴィア・リイン始皇帝は既に崩御し、『エデン』の力は末裔の皇族によって厳重に封印されている、というのがセントラルの表向きの顔だからだ。彼女が不死者であることを知っているのはごくわずかの各国上層部のみで、特に自らを“大地創世”の“始まりの民”とし、四大交差の大地を神聖視する東国アルデバランとの関係は、アダムが“篝火”を手に入れるまでは最悪の状態だったという。かくして各地の紛争にて数々の陰湿な戦略を展開した彼女は『セントラルの蛇』と呼ばれ、他国からは怖れられている。

最終的には、イヴの提案(人の精神を機巧に移す倫理的禁忌の第三案)に乗り、自身が「終末ノ病」に罹患するや否や、彼女の“最初の実験体”に志願したという。

▼レヴィアEP4-1(旧暦2072年):『ヌルとアダムの出逢い』(南国境:アルビオン城外にて)

アダム(12)『貴女が、ヌル…セントラルの蛇…。』

ヌル(年齢不明)『そうだとも。知っているなら話は早い。
セントラルへようこそ、不法入国者さん。いや、“ブレイズ家の裏切者”よ。』

アダム『僕のこと、知って…』

ヌル『君の御父上や兄君とは懇意なものでね。
見ろ、実に傑作だろう?この魔導宝飾の精巧さといったら。』

アダム『あ…それ…。』

ヌル『実に気に入っているよ。先日の戦でもこやつは私の命を守ってくれた。
君が、作ったのだろう?アダム・ブレイズ。』

アダム『なぜ、知って…るの…?』

ヌル『ねえ、アダム。物は相談なんだがね?
君、わたしと悪魔の取引をする気はあるかい?』

▼レヴィアEP4-2(旧暦2072年):『ヌルとアダムの出逢い2』(南国境:アルビオン城内にて)

アダム「・・・誰も、信用なんかしない。」
― 目の前には自分が刺したばかりのヌルが血まみれで斃れている。
― 背を向け、その場を後にしようとするアダム。

ヌル「やだなぁ・・・痛いじゃないか、少年。」

アダム「・・・!?」

ヌル「あーあー、この服は割とお気に入りだったんだがね。血だらけだ。」

アダム「ば・・・っ化け物・・・!」
― 腰を抜かして、その場で尻もちをつくアダム。

ヌル「ひどいなぁ。こんなに可愛いのに。なに、そう怯えることはない。」

アダム「近寄るな・・・!」(※正確な火属性魔法の発動。)

ヌル「・・・君は本当に、何をやらせても優秀だねぇ。
おかげで私は、君を知ってからというもの、嫉妬で狂いそうだよ。」

― 身を焼かれたままアダムへ近づき、彼の前にしゃがんでにっこりと目線を合わせるヌル。
― 戦意を喪失するアダム。

アダム「・・・何・・・で・・・」

ヌル「私が死なないかって? 言ったろ?悪魔と取引をする気はないかい?と。」

アダム「自分が悪魔だって言いたいの・・・?」

ヌル「・・・ねぇ、少年。ひとつ、昔話をしようか。
君と同じ、南方で生を受けた、とても愚かな一人の少女の物語だ。」

▼レヴィアEP4-3(約1200年前):『神に嫌われた少女』(追想:視点ヌル)

南の赤き大地で、私は生まれた。記憶が朧気になるほどには、随分と昔のことだ。
干上がり、乾いたこの土地で生きるのは、過酷だった。
たくさんの命が、あっけなく終わっていく。
だからこそ誰もが、一度は追われた“楽園エデン”を夢見た。
聞けば、そこには“善悪の智慧の炎”が揺らめき、立ちのぼる翠煙は美しき輝きを放ち、
かの“赤”に触れれば、たちまちこの世の全てを理解し、人の心を制する力を得るという。

彼の地を共に目指した同胞を騙し、喰らって、私はようやくその土地へ足を踏み入れた。
しかし、そこには、“白”しかなかった。
かの花園を必死で駆け巡ったものの、終ぞ求めた“赤”が見つかることはなく、消沈の赴きでその場を後にした私は、その“白”から“永遠”の呪いを受けたことに暫く気づきもしなかった。

ほどなく、飢餓に見舞われた。飢えを満たそうと泥水すら啜った。だが、死ねなかった。
地が揺れた。ようやく手に入れた家を失い、寒さに凍えた。だが、死ねなかった。
洪水が起こった。水の底に沈んだ。息ができない。だが、死ねなかった。

人を、愛した。彼らは老いていく。私だけが、変わらない。

救われたかった。必死になって「失った死」を探し求めた。
だが、かの“白”は何度問いかけても、それを返してはくれない、と悟った。
これは立ち入るべきではない禁忌の地へ、何の力も、大志も持たぬ私が安易に立ち入った罰なのだろう。
“エデンの意志”の冷たさが、それを物語っている。

▼レヴィアEP4-4(旧暦2072年):『ヌルとアダムの出逢い2-2』(南国境:アルビオン城内にて)

アダム「・・・つまり、えっと、ヌルさん。貴女は元々約1200年前に生まれた“人間”で、
その・・・“エデン”とかいうのに呪われて、死ねない・・・という・・・
御伽噺みたいな話を、僕に信じろ、と・・・?」

(※アダム、落ちついた。)

ヌル「信じるも、信じぬも、全ては君次第さ。
実際私はこのとおり、不死身なのは、今しがた身を以て体験しただろう?」

アダム「・・・頭がおかしくなりそうだ。」

ヌル「はははっ。今、落ち着いているだけでもたいしたものだよ。
大抵の者は、少なくとも数日は怯えてお話にならないんだがね。」

アダム「それが普通だと思いますよ・・・。
僕は、その・・・殺されるかもしれない状況には慣れているので。」

ヌル「それはなんというか、ご愁傷様だ。南地の人間は1000年経っても変わらないね。
・・・ちなみに少年、君はさらっと失礼なことを言うね?
殺意はない、と何度も言っているだろう。
命からがら逃げてきた哀れな“厄介者”を匿ってやろうという、
この“セントラルの蛇”の粋な計らいに少しは感謝してもらいたいものなんだがね?」

アダム「・・・ソレハ、ドウモアリガトウゴザイマス。」(※棒読み)

ヌル「全然信用してないな。まぁ、いい。私は君の腕を買っている。
衣食住の保証はしてあげるよ。働けばその分報酬も出そう。
喜べ、君は今日から晴れてセントラルの住民だ。」

アダム「それはありがたいんですけど・・・。
死なないんでしょ。要らなくないですか?護身用の魔導宝飾なんて。」

ヌル「要るんだよ。痛いんだから。」

アダム「さっき僕の魔法に灼かれても平気な顔して笑ってた気がするんですけど・・・」

ヌル「やだなぁ、そんなわけないじゃないか。あはは・・・♡」
(※目が泳ぐヌル。実際もう痛みには慣れきっているので大丈夫といえば大丈夫ではあるやつ。)

アダム「まぁ、いいです。必要だというなら、そのご依頼、お受けしましょう。」

ヌル「偉そうだな、君は・・・? ここは泣きながら謝辞を伝えるところじゃないのかい?
私は君の新たな家族となる。姉上、と呼んでくれてもよいのだよ?」

アダム「誰が呼ぶか。家族なんてもうこりごりだ。
・・・ただ、その、痛かったなら、さっきはごめん。」

ヌル「・・・へぇ。へぇ?可愛いところもあるじゃないか♪」

アダム「・・・うるさい!!」

▼ ― 3年後、東地レジスタンスとセントラル軍の紛争にて ―

ヌル(自称21)「始の女神の混沌に触れた者達は、昔から私が嫌いなのだよ。
この地は“無”であるべき。
エデンの意志に背いた私が、彼の地を独占しているのが気に食わないんだ。」

アダム(15)「セントラルに・・・滅びろ、と・・・?」

ヌル「そういうことだ。理解が速くて助かるよ。話の通じる相手ではない。
いいかい?アダム、君はもう立派な魔導師だ。
その、誰も殺さないという“気高い”精神は買うがね。
これは残念ながら、戦争だ。躊躇わず、殺せ。でないと、君が死ぬぞ。私と違って、君の命には終わりがあるのだから。」

アダム「・・・兄と同じには、なりたくないんだ。」

ヌル「・・・。ならば、“エデン”を従える以外に手はないよ。おすすめはしない。
花園の“生”の呪いは私が引き受けている。あそこに残っているのは“死”の呪いのみだ。
立ち入れば、無事では済まない。」

アダム「・・・それでも、誰かが行かなきゃセントラルは滅びるんだろ?」

ヌル「現状の戦況を見れば、その可能性は高いがね。
だからといって君一人が犠牲になる必要もないだろう。」

アダム「・・・いいよ。それでみんなを守れるなら。
“ブレイズ家の裏切り者”を受け入れてくれたの、すごく、嬉しかったんだ。
だから、この国は僕が守るよ。“生と死の花園”が消えれば、きっと“篝火”に近づける。
その役は、ヌル、貴女がやってくれるんでしょう?」

ヌル「エデンには意志がある。私はどうやら嫌われているようだから保証はできないがね。
まぁ、あの忌々しい白花さえ消えれば、あとはどうとでもなろう。」

アダム「なら、ここでさよならだ。今までありがとう。ヌル。
いや、レヴィア・リイン皇帝陛下。貴女が創ったこの国が、僕は好きだよ。
だから、みんなを、頼みます。」

ヌル「・・・君は本当に、嫉妬するのも馬鹿らしくなるほどの阿呆だな。
私は遺言を聞く趣味はない。“エデンを従え、篝火の守護者に返り咲け”。
これは勅令だ。失敗は許さない。」

アダム「相変わらず、無茶ばかり言ってくれますね。
・・・善処はしますよ、“姉上”。」

▼レヴィアEP4-5(旧暦2101年):『終末のアストラル①』(セントラル中央指令塔C-GEにて)

(※アダム死亡直後。この時イヴは“篝火”の継承によって父の全ての記憶を共有している。)

イヴ「・・・。ねぇ、ヌル、パパが居なくても“役立たずのご令嬢”に協力してくれる・・・?」

ヌル「君は、今この時より“篝火”の継承者だ。ならば、命じればよかろう。
その力は全ての“心”を御するものだ。」

イヴ「ふふっ。そんなこと、しないよ。だって貴女は、パパの大事な、“お姉さま”だもの。」

ヌル「へぇ。全てお見通しということか。いやだねぇ、神の力とやらは本当に。
それで?私に何をさせたいんだい?」

イヴ「パパとママをもう一度会わせてあげたいの。
成功すればきっと、貴女の悲願も、叶えてあげられると思うわ。」

※ヌルの悲願=死にたい。

ヌル「・・・なるほどね。君は“人”としての一線を、超えるつもりと、そういうことだね?
“弟”の最期の懇願を思えば、私は君を止めるべきなのだろうが・・・」

イヴ「パパの言いつけ、イヴ、初めて破るかも。」

ヌル「・・・そうかい?わりとわがまま放題だったじゃないか。」

イヴ「そんなことないもん。パパ、いつも最後は納得してくれたんだから。
でもね、多分今回はこっぴどく怒られちゃう。」

ヌル「それでは、私も一緒に怒られるとしようかね。」

イヴ「・・・!ありがとう、ヌル!・・・いいえ、“レヴィア・リイン皇帝陛下”。」

ヌル「ははっ、懐かしいなぁ、その言葉。」

▼レヴィアEP4-6(旧暦2101年):『終末のアストラル②:セントラル始皇帝による停戦演説』(セントラル中央指令塔C-GEにて)

ヌル「将軍ヌルより抗争中の全世界ヘ告ぐ。
人類、そしてカガリビトは今、「終末ノ病」の蔓延により滅亡の危機に瀕している。
我が国の英雄、アダム・ブレイズよりは、『人命のみを救う機巧破壊案』、
そして機巧技師リリス・マイヤ卿よりは、『全“生命”を救う機巧一時凍結案』が
発案されたあの日より、世界は今尚、二派に分かれて争っていることだろう。

だが、どちらを取ってももう遅い。
先刻、我が友、アダム・ブレイズは崩御した。
彼の力なくば、短期間での一斉破壊も、一時凍結も為し得ない。
争いなどせずとも、結果は決まった。
我々は近い将来『終末ノ病』に喰われ、滅亡するだろう。
そして、このまま我ら“人間”が滅びれば、
残された機巧達はアストラルフレアを喰らい尽くした後、停止するだろう。
我々は、全員揃って“星の裁定”に敗したのだ。
まずは各自、剣を収めよ。これ以上の戦闘は無用である。

・・・今、我が通告によって、世界は絶望の闇に飲まれたことだろう。
死にたい者は死ぬがよい。だが、我は足掻こう。

我の名は“レヴィア・リイン”。
“セントラルの蛇”にして、エデンの“永遠”を統べし初代皇帝である。
これが証拠だ。見るがよい。」
(※全国放送での自害→そして死なない。)

ヌル「クチナシの白に触れてしまった1200年前の原初より、我はこの星を観測し続けてきた。
この星を愛す者として、そして我と同じく禁忌を犯し、
“篝火”の力を手にした“セントラルの英雄”アダム・ブレイズの友として、
我はせめて、人の“罪”を清算する為の第三案を発動しよう。
『終末ノ病』は精神を喰らう。それは不死の我が身へもいずれ必ず襲いかかり、
我はただ独り、意志すら持たぬ神の僕、“永遠の守護者”へと成り下がることであろう。
その時、アストラルフレアが枯れ果てていては、守るモノすらない。
我々は、せめてかの“魔素”だけでも、今、星にお還しすべきなのだ。

ここからはこの“星の裁定”に抗いたい者のみの、厳しい戦いとなる。
よって、我、レヴィア・リインより、“星への贖罪”を望む全ての生者へ告ぐ。
有終の美飾りたくば、この“生と死の花園に呪われし不死の我が身へと集え”。
気高き同志を、我は歓迎しよう。」

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※ストーリーはキャラクター順に繋がっています。