アベル・アーセス
Voice:にーさん
旧暦(高度文明期)
享年:29歳
属性:地属性
出身:東地(アルデバラン/巨神の戦跡地)
新暦(人類滅亡後)
KEEPER=LEO/獅子座の守護者
役割:C-GE:強襲型戦闘機巧
混沌の末裔 / 冥脈届かぬ砂跡の剣聖
彼の現在のコードネームはKEEPER=LEO。
『獅子座』の名をその身に冠する近接戦闘型アンドロイドで、異なる二剣を愛用している。
これは人形社会において未だ謎多き『創造主の時代』の遺物だそうで、機巧人形たちには少々手に余る代物のようだが、目を覚ました彼はなぜだか傍に置かれていたこの二剣に惹かれ、他の者では握ることすら難しかったこれを即座に使いこなすことに成功した、という。
以降、この武の才を活かして、彼は日々魔素を喰らう謎の敵生命体を排除し続けてきたわけだが、血の気が多く、特段何も仕事をしない『乙女座』を毛嫌いしている。彼女に『ロールレス』などという蔑称を付けたのも彼で、かの躯体を重要視するSIR=GEMINIがいつも手を焼かされている次第である。
そんな彼のオリジナルの魂の名は、アベル・アーセス。
さあ、今日は、剣聖と謳われる彼の人類滅亡までの軌跡を読み解いてみようではないか。
キャラクターボイス
『俺、もしかして、出番・・・?』
『なぜSIR=GEMINIはあの役立たずを停止させないのですか?!
アストラルフレアを喰うだけの無駄な存在じゃないか!』
STORY
▼アベルEP5-3 (2097年):『終末のアストラル①:役立たずのご令嬢』
→「善悪の彼岸」(北地国境哨戒塔)にて。※アベル25歳/少尉になっている。
緊急事態だった。
その日俺は北地との国境警備に当たっていた。といっても、カガリビトがこの世に台頭してからというもの、ほとんどの仕事は彼らがやってくれる。
話し相手もいない一人での暇な夜勤だ。眠い。
ぼーっと愛剣を磨いていたところで、俺はかすかな声に気付いて暗闇に目を凝らした。
アベル(25)「え・・・?女の子・・・?こんな時間に・・・?」
北地との国境はちょっとした樹海だ。そんなところに人がいるわけが・・・と思ったが、たしかに、
金髪の可愛らしい女の子が泣きじゃくりながらこちらへ向かってくるのが見えていた。
俺は慌てて哨戒塔から駆け下りて、彼女の元へと駆け寄った。
アベル「どうしたの・・・!? 君、大丈夫!?」
怪我をしているようだった。服は血まみれだし、右足を引きずっている。
これはまずい、と応援を呼ぼうとした俺の無線機を彼女は焦った様子で叩き落とす。
非常に正確な風魔法だ。
アベル「(おいおい・・・。ちょっとずれてたら俺の指、飛んでたぞ・・・?)」
冷や汗が溢れてくるのが、自分でもわかる。やばい。この子は強い。
興奮状態の少女を落ち着かせようと、俺は静かに両手を上げた。
アベル「え・・・えっと・・・敵意はないんだ。君の助けになりたい。
俺はセントラルの軍人で、階級は少尉だ。アベル・アーセスっていう。
よかったら君の名前を・・・その・・・教えてくれたりは・・・」
イヴ「・・・追っ手じゃ・・・ない・・・?」
アベル「(追っ手!? 何の映画の話だよ・・・?)」
彼女の咄嗟の一言に俺は目眩を覚えながら、何とか事情を聞こうとさらに会話を続けてみる。
アベル「うん。違う違う。なんなら、身分証見せようか・・・?ほら・・・!」
イヴ「・・・ほんとに、セントラルの・・・軍人さん・・・。じゃあ、ここはもう、セントラル・・・?」
アベル「うんうん。そうだよ。正確にはこの柵の向こうからがセントラル。」
イヴ「国境・・・!パパが言ってたとおり・・・!」
アベル「・・・ぱぱ?パパがいるの?」
イヴ「・・・!お兄ちゃん、助けて・・・!パパが死んじゃう・・・!」
アベル「え・・・えぇ・・??」
イヴ「いいから、早く・・・!こっち来て・・・!」
アベル「いや、ちょ・・・待っ・・・これ、越境行為なんだけど・・・!?」
いくら平和な世の中とはいえ、申請も出さずに勝手に北地の領地に立ち入ったなどばれたら完全に懲戒ものなわけだが、血まみれの少女の強力な風魔法によって、俺は為す術もなく背中を押され樹海へと足を踏み入れ、そして、“彼”を見つけてしまった。もちろん、この時は瀕死の重傷を負った彼女の“パパ”がかの偉大な英雄、アダム・ブレイズだとは知る由もなかったのだが・・・。
▼アベルの自宅にて。
アベル「あ、目が覚めました?大丈夫っすか?」
アダム「……ここは…?」
アベル「俺ん家です。エバちゃんが見つかったらまずいって俺を脅すもんで、
誰にだよ・・・とは思ったんすけど、聞いても全然教えてくれないし・・・その・・・
流れで俺も越境行為しちまいましてですね・・・どうしようか迷った挙げ句、
貴方が起きてくれればもうちょっと詳しく事情わかるかなって思って・・・。
とりあえずここに運んで手当しちゃったんっすけど…」
アダム「エバ・・・。・・・そうか、あの子が・・・。迷惑をかけたね。すまない。
君は、セントラルの軍人かい?」
アベル「よくわかりましたね?北地の人だとお見受けしてたんですけど…?」
アダム「君よりは長く生きているからね。いろいろあるんだ。」
アベル「何すか、それ。まぁ、いいや。」
アダム「…君の上官は誰だい?」
アベル「ヌル将軍っす!あ、俺の名前はアベルです。アベル・アーセス。階級は少尉。」
アダム「そうか。私の名は…ジェミニ・マイヤだ。」
アベル「おぉ、あの天才技師と同じ名前!北ではよくある名前なんすか?」
アダム「…ま、まぁね。しかし、その若さで将軍付きとは。すごいね。」
アベル「え、いやぁ、照れるなぁ。まぁ、将軍の気まぐれなんすけどね。
実は俺、目指せ、英雄アダム!…って思って志願したんすけど、
俺が入隊した時にはもう彼は隠居された後だったんすよ。
で、恨むぜ将軍~!って言ってたらそれ本人に聞かれちゃって。
で、そのまま将軍の部隊に・・・、馬鹿みたいな話でしょ?
今もアダムさんは北地らしいので、いつか会ってみたいんっすよね。」
アダム「…そうか。会えるといいね。ところでイ…娘はどうしてる?」
アベル「あぁ、エバさんすか? 大丈夫、今はぐっすり眠ってますよ。
右足捻挫してたくらいで最初っから俺の無線機、魔法で叩き壊すくらいには元気です。
すごいっすね、あの子。」
アダム「そ、そうか。おてんばですまない。ゆっくり休ませてやってほしい。
厳しい道中だったので、その、無理してないか心配なんだ。」
アベル「…マイヤさん、自分の心配した方がいいっすよ。」
アダム「私は大丈夫だ。それより君、そういうことなら将軍に繋いでくれないか。
これを渡してくれれば私の身元はわかるはずだ。」(※魔力で手紙的なものを作成)
アベル「…!? うぉーーー!今のどうやったんっすか?!すっげぇ!!」
アダム「……。軍人なのにわからないのかい…?」
アベル「…うっ。いや、その…実はっすね…。俺、魔素適正低いんっすよね。
だから剣の腕だけで入隊したんっすよ。
将軍にも“おまえは剣聖になれ!!”とか言われちゃって。
だから入隊後は魔術の勉強、ほとんどしたことないんです。」
アダム「あぁ、そうか、アーセス・・・。なるほど…。君、砂漠の出身かい?」
アベル「・・・父をご存じで?」
アダム「え、あぁ、まぁ・・・その、有名な武人だからね。」
アベル「そう、かぁ・・・? ま、いいや。そういうことにしときます。
将軍に繋げってことはその辺の事情に精通してる方なんすよね。」
アダム「あ、え、いや、まぁ、彼女とはちょっとした昔馴染みなんだ。
大丈夫だ、怪しい者ではないから安心して届けてくれ。」
アベル「まぁ、将軍ならこれが暗殺用の何かだったとしても蹴散らすでしょうし・・・。
俺も、この平和なご時世にそんな大怪我する厄介事には巻き込まれたくないんで、
将軍が処理してくれるなら願ったり叶ったりっす。明日の朝渡してきますよ。
とりあえず今日はそれ食ったら寝てください。顔色、かなり悪いっすよ。」
アダム「・・・すまない。そうさせて頂くよ。ありがとう。」
▼将軍命令で暫くアベルの家にお世話になってたイヴとアダムその1。
アベル「ただいま…ってエバ…。おまえ、それ…。何やってるんだ?」
エバ(イヴ)「あ、おかえりアベル!お料理!パパに作ったの!」(※台所ぐっちゃぐちゃ)
アベル「…そ…そっか。死なないといいけどな、マイヤさん…。」
エバ「…? パパ、昨日も美味しいって食べてくれたよ?」
アベル「お、おぅ。おまえの自己肯定感の高さはそういうことか…。」
エバ「何が不服なのよ!ほら、アベルも食べて!出来立てほやほや!」
アベル「絶対嫌だ! こんなもん食ったら腹壊…」(※突如、後ろからぶんなぐられる)
アダム「アベル、君はエバの厚意も受け取れない小さい男なのかい…?」(※絶対零度)
アベル「マイヤさん、痛いっす…。甘やかすのよくないし、その・・・腹壊しますよ?」
アダム「・・・・・・。」
アベル「わかりました、わかりましたよ! 食えばいいんっすよね!!
…あれ?うま…い…?」
アダム「ほら、だから言っただろう。私はエバに嘘は言わない。」
アベル「へぇ。まじかぁ…。世の中には不思議なことがたくさんあるんだ…なぁ…。」
エバ「アベルはエバに失礼…!美味しいなら美味しいって素直に言ってよね…!」
アベル「いや、うん。すまん。俺が間違ってた。」
アダム「(それでいい、といった様子で満足気に頷く)」
エバ「…ふふ、あははっ。パパとアベルって、ほんと仲いいよね!」
アダム&アベル「「どこが!?」」
▼将軍命令で暫くアベルの家にお世話になってたイヴとアダムその2。
アベル「エバ、おまえ、何属性使えるんだよ・・・すげぇな。」
エバ(イヴ)「えへへ。全部使えるの。でも・・・魔法使うとね、制御できなくって。
アストラルフレアいっぱい使っちゃうから、普段はほら、これ。」
アベル「・・・魔素遮断装置じゃないか。」
エバ「うん。だから、ごめんね。あんまりお手伝い、できないや。
これ壊れたらエバ、パパに怒られちゃう。」
アベル「いや、そういう事情なら仕方ねぇよ。俺の友達にも居たんだよな。
おまえほどじゃないけど二属性持ちのやつ。
今まで使ってたもんいきなり制限しろったって無茶言うなよって話でさ。
苦労してたよ。おまえはまったく制御できないんだろ?
世が世なら英雄だっただろうに・・・。大変だよな・・・。」
エバ「へへ。いいの。日常生活には問題ないから。」
アベル「そっか。まぁ、俺らみたいな職業目指さないなら問題ないよな。
エバは料理も掃除もできるし、将来はいいお嫁さんになるんじゃないか。」
アダム「エバはやらんぞ。」
アベル「・・・居たんっすか!? ってなんで俺がもらう話になってんすか。
そんなチャレンジャーなことしませんよ・・・。」
エバ「あはははは・・・っ」
▼将軍命令で暫くアベルの家にお世話になってたイヴとアダムその3。
エバ「アベルって、パ・・・アダム・ブレイズが好きなの?」
アダム「・・・・・・げほっ。」(※飲んでたお茶で咽せるアダム。)
アベル「お?なんでわかった?マイヤさんから聞いたのか?」
エバ「うん、軍への入隊理由、それだって聞いたから。」
アベル「そうなんだよ!小さい頃にアダムさんの魔法見たんだよな、俺。
もう、めちゃくちゃかっこよくてさ・・・!
だから部下になれたらなってのが最初の志願動機だった。」
エバ「へぇ・・・、そっかぁ。いいなぁ。イ・・・エバも見てみたかったなぁ・・・?ねぇ、パパ?」
アダム「・・・・・・。」(※気まずい。)
アベル「おぉ!? おまえも英雄アダム・ブレイズのよさがわかるか・・・!」
エバ「うん・・・!パ・・・アダムはとってもかっこいい!」
アベル「へー、そっか、おまえ北地から来たんだもんな。もしかして見たことあったり?」
エバ「ふふっ、あるよ~。いいでしょ~。今は渋いおじ様だよ♪」
アダム「・・・・・・。」(※照れる)
アベル「まじかぁ。でも、まぁ、今のアダム・ブレイズって一般人なんだろ?
娘ができてからすっかり丸くなって、溺愛しちゃってるらしいしさ。
“役立たずのご令嬢”の話はセントラルでも有名だからなー。
まぁ、平和でいいんだろうけどさ。ファンとしてはちょっと残念でもあるんだよな。」
エバ「・・・・・・そ、そうなんだ。」
アベル「そう、俺が憧れた英雄アダムはもういないってわかってさ、俺の夢は潰えたんだよ。
いつかセントラルに帰ってきてくれるの、楽しみにしてたんだけどな。」
エバ「・・・・・・ごめんね。」
アベル「え?なんて?」
エバ「ううん、何でもない!お話聞かせてくれてありがと!エバ、そろそろ寝るね!」
アベル「・・・? お、おぅ? おやすみ・・・?」
アダム「・・・・・・。」(※あーぁ、と言う顔。)
アベル「え、俺、なんかまずいこと言いましたか?」
アダム「いや、特には?」(※イヴが可哀想で若干不機嫌。)
▼アベルとイヴ(アダム):別れの時
ヌル「やぁ、イヴ。久しぶりだね。それにアダムも。無事で何よりだ。」
イヴ「あ・・・。えっと、久しぶり、ヌル・・・。」
アベル「・・・・・・・・・え?」
アダム「・・・はぁ。(※特大の溜息)
本名は言うな、とあれほど言っただろうに・・・。」
ヌル「はははっ。相変わらずだねぇ、君たちは。私の部下を甘やかさないで頂きたい。」
アベル「・・・えっと・・・、その・・・」
ヌル「遅くなったが、手続きは完了した。
只今を以て彼らの身柄は保護され、セントラル本部へ移送される。
よって、本日付で、アダム・ブレイズ及びイヴ・ブレイズ護衛の任を解く。
特別任務、ご苦労だった。アベル少尉。
行こうか、イヴ。二人は話があるみたいだから。」
イヴ「・・・うん。アベルさん、今まで本当に、ありがとうございました・・・!」
(※精一杯の笑顔をアベルに向けてから、深々と頭を下げてヌルと共に部屋を後にするイヴ)
アベル「・・・・・・え?ほんとに・・・?マイヤ・・・さん・・・?」
アダム「アベル君、隠していてすまなかったね。今まで世話になった。
ヌルの言うとおり、私の真名はアダム・ブレイズ。
君ももう知ってのとおり、先日、リリス・マイヤ卿との交渉が決裂してね。
今後セントラルは「終末ノ病」への対策として、人命を優先すべく、
「カガリビト破壊」を目指して北地と争うことになるだろうから、
軍人の君とは、また会うこともあるだろう。君達の働きに、期待している。
・・・では、私は行くよ。」
アベル「・・・・・・待っ・・・待って。マイヤ・・・じゃなくて、アダムさん・・・!
エバは、つまり、母親に、殺されかけた・・・ってことですか。」
アダム「・・・そういうことになる。」
アベル「お、俺、謝らないと・・・!役立たずのご令嬢のせいで夢が潰えたって・・・」
アダム「申し訳ないのだが、今はこれ以上、触れないでやってくれ。
彼女はあの時、自分が“普通の魔導師”だったらリリスを止められたのではないか”
とずっと自分を責めている。今は、心のケアが必要なんだ。」
アベル「事情も知らずに、すみません・・・。ほんと、すみません・・・。」
アダム「私のことなら、かまわないさ。
娘を溺愛しているのも、北地で平和を謳歌していたのも、君の言うとおりだ。
今後は『救国の英雄』の名に恥じぬよう、働くつもりだよ。今後ともよろしく頼む。
では、またセントラル本部で会おう。」
(※部屋を後にするアダム。)
アベル「・・・そんなの、貴方だって、つらすぎるじゃないですか・・・。」
※ストーリーはキャラクター順に繋がっています。